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田中保展 埼玉県立近代美術館

2022/10/2


先日、バイクで多摩から埼玉県立近代美術館で開催されている「シアトル→パリ 田中保とその時代」という展示を観に行った。


田中は1904年に18歳で移民としてシアトルに渡り、向こうで絵を学び画家になった日本人である。もともとは画家を目指してアメリカに渡ったわけではないようだ。美術館の解説からも、彼の若い時の記録や意思についての資料はとぎれとぎれで、わからないことも多いようである。彼が1917年にアメリカ人の美術批評家と結婚した時には、当時日本人とアメリカ人の結婚は大きなニュース(スキャンダル)となって新聞にも取り上げられたとのことである。そんな時代背景もあり、画家としての評価も確立しながらも、人種的な部分では大変苦労もあったようだ。その後夫婦でパリに移り住み活動しながら、田中が祖国である日本で認められたいという気持ちが強くあったことは、美術館の解説からも相当伝わってきた。しかし当時は日本画壇の閉鎖的な政治力もあり、海外で活躍している彼を受け入れず、日本において彼が日の目を見たのは彼の死後ということになる。


日本の画壇なるものに対して、最近のアーティストは個々の活動が増え、どんどん関係は希薄にはなっているが、それでも美術業界において美大ごとのタテの繋がりというものは強く感じる。


ところで肝心の田中保の作品だが、インターネットで事前にいくつか作品を見ていた印象とは違い、相当技術力があり、また挑戦的な部分もある作家だったことが伝わってきた。これは生で観ないとわかりづらいものであった。貴重な展示を観ることができてよかった。残念ながら図録は完売していて、入手できず。彼の画集などは存在しないのか、検索しても出てこない(しかし以前にも何度か美術館で個展企画されているので図録は根気よく探せばあるかもしれない)。



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